近年,記憶や記念碑など,非文字資料を手掛かりとした歴史研究が注目されている。歴史地理学においても場所の歴史を考える場合にそのアプローチは有効であろう。とくに,戦争や災害,疫病といった過去の人々に共有された記憶に留まりやすい事件と場所との関わりを考えるには,有用であると思われる。こうした点もふまえつつ,広く場所の歴史を記憶や記念碑を手掛かりに考えてみたい。